永世の愚者〜Let's play DEATH GAME〜(5人台本)
【六人声劇台本】
【男2:女1:不問2 デスゲーム】
【所要時間目安:60分程度】
●上記イメージ画像は、ツイキャスで生声劇する際のキャス画にお使い頂いても構いません。
●台本をご使用の際は、利用規約をご一読下さい。
『永世(えいせい)の愚者(ぐしゃ)〜Let's play DEATH GAME』
【人物紹介】
ウィドック(♂)
その筋では有名な凄腕の殺し屋。見た目も口調も恐い。
※観客(セリフ数:4)も兼役して下さい。
フィン(性別不問ですが、若めの声の出る方に限る)
情報屋。見た目は十代に見えるが、実際は成人している。
※係員(セリフ数:4)も兼役して下さい。
ロイド(♂)
マッドドクター。指名手配されている。笑い上戸。
サイカ(♀)
女盗賊。綺麗なものばかりを狙う。美人。年齢は本人曰く非公開。
※A君(セリフ数:3)も兼役して下さい。
GM(性別不問)
ゲームマスター。スピーカーから声が聞こえてくるだけなので容姿などは一切不明。
【演じる際の注意点】
・兼役のある方はなるべく声を変えて下さい。
・デスゲームなので、キャラによっては叫びセリフがあります。配役にはご注意下さい。
・SE表記がありますが、必須ではありません。入れられる方だけ入れてください。
↓生声劇等でご使用の際の張り付け用
――――――――
永世の愚者〜Let's play DEATH GAME
作:レイフロ
https://reifuro12daihon.amebaownd.com/posts/7982275
ウィドック&観客:
ロイド:
フィン&係員:
サイカ&A君:
GM:
――――――――
以下、台本です。
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ウィドック:
かの有名な闇オークションのオーナーから招待状が届いたのはいいが…。
集められたのはこの4人だけか?
『黒い涙』が手に入るっていうから来てやったのにどういうことだ、ガキまで居るじゃねーか。
フィン:
ん?ボクのことかなぁ?
安心してよ、これでもちゃんとお酒が飲める年齢だからさぁ。
ロイド:
まぁでもさ、『黒い涙』なんて、本当に存在するのかい?ふふふw
サイカ:
『黒い涙』は、第二次世界大戦中に生物兵器を開発する上で、
偶然生まれた産物だって聞いたことがあるけど…。
不老不死の効果があるなんて、本当なのかしら?
フィン:
何を隠そう、この闇オークションのオーナーが『黒い涙』を飲んで不老不死になったって話だけどね!
ウィドック:
うさんくせーな、来なきゃよかったぜ。
フィン:
じゃあ今からでも帰ったら?
ウィドック:
んだと?
生意気な口きいてると痛い目見るぞ、このクソガキ。
フィン:
こわーい!
さすが、本物の殺し屋の脅し文句は違うねぇ。
ウィドック:
…っ俺を知っているのか?!
フィン:
知ってるよ。金さえ積めば誰でも殺す。
殺し屋のウィドックでしょ?
ロイド:
ウィドック?!あはは!あの有名な?!w
でも顔は誰も知らないはず。
なんでお子様がそんなことを知ってるわけー?
フィン:
人を見かけで判断すると恐いよ?
ボクは情報屋のフィン。
サイカ:
フィン?聞いたことないわね。
フィン:
決まった名前は持たない主義だからね、今つけた仮の名前さ。
サイカ:
へぇ。じゃあ優秀な情報屋のフィン?
私のことも知っているかしら?
フィン:
もちろんだよ。
美しいものだけを狙う女盗賊のサイカ…でしょ?
ロイド:
ニュースで見たぞ!本物か?!
まさかこんな美人だったなんてなぁw
フィン:
そしてあなたは、生きたまま人間を解剖したとして、
現在、絶賛指名手配中の元医者・ロイドでしょ?
ロイド:
その通り!あれぇ?w
でもなぜバレたんだろう?w
指名手配書とはかけ離れた顔に整形したのにぃw
フィン:
ふふ、情報源は企業秘密だよ♪
サイカ:
てゆーかちょっと待って!
この部屋の扉開かなくなってるじゃない!
GM:
あーあー。テステス。
…ゴホン、お集まりの皆様!はじめまして。
私は今回のイベントの企画者、および当館の主人でございます!
…失礼ながら名前や姿は非公開とさせて頂いておりますので、「ゲームマスター」とお呼び下さい。
フィン:
びっくりしたぁ!
部屋の隅にあるスピーカーから聞こえてくる!
GM:
ご無礼をお許し下さい。私は闇オークションのオーナー。
胸を張って皆様の前に出られないことをどうかお察し頂ければと存じます。
ウィドック:
まぁそうだろうな。
俺たちも人のこと言えた義理じゃねーけど。
GM:
今回は独自の情報網により、
『黒い涙』が喉から手が出るほど欲しいと思われる4名様にお集まり頂きました。
ここへは、オークションへの参加の意思がある者のみ来て頂くよう招待状にも明記しておりましたが、
皆様、心のご準備はよろしいでしょうか?
サイカ:
ゲームマスター。
招待状の中で、「最も相応しい方に『黒い涙』を贈呈致しますので、金銭の用意は必要ございません」っていう記述があったけれど、これは本当なの?
GM:
本当です。
ですが、不老不死をもたらす『黒い涙』を持つに値する人を決めるために、
皆様でゲームをして頂きます!
ウィドック:
ゲームだと?!そんなこと聞いてねーぞ!
ロイド:
不老不死の力を持つ『黒い涙』争奪戦ゲー厶、か!
これは世に言うデスゲームが始まるのでは??ふはっw
ウィドック:
ロイドとか言ったな、テメー笑いごとか?
ロイド:
俺は捕まれば死刑確定の指名手配犯なんだよ?
デスゲームだろうがなんだろうが、俺はやるよぉ?w
GM:
良い心がけです!なんといっても賞品は不老不死をもたらす『黒い涙』!
業(ごう)の深い者、もしくはそれに相応(そうおう)する覚悟のある者だけが、
このゲームに参加することが許されます!
フィン:
ふーん、何をすればゲームに参加出来るわけ?
GM:
皆様の目の前にテーブルがございますが、
そこにあるアイスピックを一つずつお持ち下さい。
ウィドック:
まさかそれで殺し合えって言うんじゃねーだろうな?
GM:
ご冗談を。単なる度胸試しです!
まずは皆様の『黒い涙』が欲しい理由を教えて下さい。
言い終わったら、自身の手をテーブルに置いて、
手の甲に自分でアイスピックを突き刺して下さい!
サイカ:
は?何を言っているの?!
GM:
サイカ様のような女性や、華奢(きゃしゃ)なフィン様もおりますし、
貫通させろとは言いませんが、
端(はた)から見て思いっきりやっていないと判断された場合、失格となります。フフ。
サイカ:
冗談でしょ?
GM:
参加を拒否される方はお帰り下さい。
ただし、今日のことは忘れて頂く必要がありますので、
別室にて特別処置を受けて頂きますっ!
ロイド:
特別処置?興味あるなぁw
GM:
お薬と電気ショックを使って、ここ数日の記憶を消します!
記憶がぜーんぶ消えてしまった場合や、死んでしまった場合は……
フフフ、大変申し訳ございませーん!
ロイド:
あははwいいね!
『黒い涙』が本物なら、それくらいはしないとなぁ?
フィン:
僕は『黒い涙』が本物なら、アイスピックを自分の手に刺すことくらいしてみせる。
でももしニセモノだった場合のリスクが高すぎる。
『黒い涙』が本物だという証拠は何か見せてくれないの?
GM:
ごもっともなご意見ですが、『黒い涙』は本物です!
考えてみて下さい。
ゲームが始まる前に、その後に支障が出るような怪我を参加者に負わせると思いますか?
アイスピックで手を刺した者には、
身をもって『黒い涙』が本物であることを実感出来るものを差し上げます!
ウィドック:
ほぉ…。おもしれぇ。俺はやるぜ。
ロイド:
俺もだw
是が非でも『黒い涙』が欲しいからなぁw
フィン:
まだ半信半疑ではあるけど、僕もやる。
サイカさんは?
サイカ:
私やフィンの坊やに気を使うってことは、
本番のゲームでも、勝ち負けは腕っぷしに左右されないわけよね?
GM:
もちろんでございます!
それだと殺し屋のウィドック様があまりに有利!
ゲーム以外で他の参加者に物理的な攻撃が加えられた場合は、
即失格の後(のち)、我が庭園の肥料にでもなって頂きます!
サイカ:
ゴクっ(生唾をのむ)
…わかったわ。私もやる。
GM:
では始めましょう!
あなた方が、どれだけ本気で『黒い涙』を欲しているのか聞かせて下さい!
刺す順番はご自由にどうぞ。
サイカ:
話すのは誰からでもいいけど、さ、刺すのは同時にしない?
刺すのを躊躇(ためら)ってモタモタされるのは嫌だわ。
ウィドック:
じゃあまずは俺から言おう。
…俺が不老不死になりたい理由はシンプルだ。永遠に人を殺したい!
ターゲットの過去も未来も一瞬で奪う快感は、本当に何物(なにもの)にも代えがたい!
でも満足の行く殺人をするためには今の肉体が必要だ。
動けるうちに飽きるまで殺しまくろうと必死になってる間に、
俺の殺し屋としての名前もどんどん上がってきちまったわけだが…
まだまだ殺したりねぇ。
『黒い涙』は俺が手に入れてやる!
ロイド:
ふふふ、次は俺かな?
俺はサイコパスだなんて呼ばれているけれど違うんだよぉ?
ずっと名医としてやってきたんだ。
腹を切って悪いところを切除して、綺麗に縫い合わせる…。
でもさ?同じことをしても生きる人間と死ぬ人間がいることに疑問が生じてね?
生と死の一瞬の境目を見極めたい…!
そのためには何十、何百も人体実験しなければならない!
医学の進歩のためさ?ふふふw
フィン:
サイコパスの気持ちなんてわからないと思ってたけど、
ある意味ロイドとは共通点があったよ。
物理的ではないけど、僕も見たいんだ…。
クソみたいに真っ黒な人間の腹の内側を!
とっくに成人している僕が、何故どう見ても十代みたいな容姿をしていると思う?
ろくでもない両親のせいで成長が止まっちゃったんだ。
僕だけがこんな目に合うのは理不尽だ!
アイツさえ居なければ…!
…ゴホン、とにかく!
表向きは素晴らしい人格者が、
本性はどれだけ汚いのか情報を暴き倒して、破滅に追い込むのが僕の天職、『情報屋』ってわけ!
サイカ:
どいつもこいつも頭のおかしいヤツばっかりね。
私は純粋に綺麗なものだけをもっともっと追い求めていたいだけよ。
美しいものにはそれだけで価値があるわ!
でもその本当の価値も解らずに、ただ持っていることを自慢したいだけのエセ収集家たちは許せない!
芸術品への冒涜(ぼうとく)よ!
だから私はそんな奴らから美しい宝石や美術品を救い出してあげているの!
美しい私が持ってこそそれらはもっと輝きを増すんだから!
ロイド:
あんたが一番欲しいのは“不老”の方なんじゃないのか?
美人だもんなぁ?w
でもその美貌はあと何年続くかなぁ?ひひw
サイカ:
それ以上口を開いたら殺すわよ。
フィン:
これで全員だね。
ゲームマスター、もし「せーの」でアイスピックを刺せなかったら、
その人を特別処置行きにしてもらってもいい?
GM:
承知いたしました。では皆様、アイスピックは構えていますね?
では参ります!…せーの!
(SE:刺さる音)
全員:
(各々痛がって下さい。ロイドのみ笑いながら痛がって下さい。)
GM:
あははは!全員見事に突き刺せましたねぇ!
これは素晴らしい!
サイカ:
うぅ…痛、い…っ!
もしこれで『黒い涙』がニセモノだったら、絶対にアンタを殺してやるわ!!
GM:
参加資格を得た皆様に、プレゼントを差し上げましょう!
テーブルの裏を探ってみて下さい。
ウィドック:
なんだこれ?小さい瓶…マニキュアか?
GM:
使い方はマニキュアと同じです。
蓋にくっついている刷毛(はけ)を使って、中の液体を塗ります。
ロイド:
まっ、まさかこの灰色の液体はっ!!
GM:
それは『黒い涙』を薄めたものです!
それを飲み干しても不老不死にはなりませんが、塗って傷を治すことは出来ます。
アイスピックを抜いて液体をひと塗りしてみて下さい。
ただし、塗る量には十分ご注意を。
この先のゲームで怪我をする可能性を考えると、いま沢山塗ることはオススメしません。
サイカ:
私は塗るわ!
ぐぅっ…!!(アイスピックを抜く)
あっ!塗ったところの傷口が、塞がっていく!!
フィン:
ほんとだっ!ぼ、僕も塗るっ…!
ロイド:
あはぁw本当に傷が塞がった!本物だぁ!
ウィドック:
でもまだ鈍い痛みがあるな。
ひと塗りでは完治とまではいかないらしい。
GM:
他人の瓶を無理やり奪う行為も禁止です。
発見した場合、獰猛(どうもう)な我が愛犬の餌になって頂きます。
ワンワン!(←ふざけるように)
ウィドック:
これで参加者は決まった。前置きが長ぇんだよ。
早くそのゲームとやらを始めろ!
GM:
せっかちですねぇ。まぁいいでしょう。
それでは扉の向こうにある第一の間(ま)へお進み下さいっ!
(SE:扉を開ける)
フィン:
大きなモニターと…あれは張り付け台?
GM:
その通り!
第一の間では、オークション風のゲームをして頂きます!
まず、全員あの張り付け台で手足を拘束します。
正面にあるモニターの下には穴があり、
あそこから様々な物が飛び出してきますので、
今から行われるオークションで防具を競り落として下さい。
ロイド:
防具を手に入れられなければ、
飛んでくる物をそのまま体で受けるってことかなぁ?w
GM:
その通りです!
オークションは何度か行われますので、
所持金千円を上限として入札して下さい。
ただし、金額が一番高い方が落札するわけではございません。
最低入札額の方だけが商品を手に出来ません。
フィン:
一番ケチった人がバツゲームってわけか…。
GM:
では皆様、張り付け台へ移動して下さい。
どこでも同じですのでお好きなところへどうぞ。
サイカ:
じゃあ私はここ。
張り付け台の脇に小さなタッチパネルがあるわ。
これに入札額を入れるのかしら?
GM:
その通りでございます!0円の場合も「0」とご入力下さい。
ちなみに、入力された金額は、落札の有無に関わらず消費されますのでご注意ください!
では、入力のために利き腕の肘から先は動くようにしますが、
それ以外は足も手も固定させて頂きまぁす。
ウィドック:
チッ…
GM:
ではさっそくオークションを始めましょう!
最初の攻撃はぁ…?
「縫い針10本」!!
これを防ぐための防具がオークションに出品されました!
さぁ、1分以内にタッチパネルに入札額をご入力下さい!
話し合いもご自由にどうぞ~♪
ロイド:
縫い針くらい刺さったところで死にゃーしないけどねぇw
フィン:
どのくらいの速さで飛んでくるんだろう。
サイカ:(怖がるように震える)
…っ……
GM:
結果が出ました!!
入札額は、ロイド様10円、フィン様50円、サイカ様200円、ウィドック様はなんと0円!
というわけで最低額を入札したウィドック様以外は、見事防具を落札しました!
ウィドック:
ロイドのヤローが言った通り、縫い針くらいで死ぬわけないだろ。
千円しかねーのに200円出すバカがいるとはお笑いだな。
サイカ:
うっ、うるさいわね!
どのくらいの速さで飛び出してくるかもわからないのに…様子見よ!
GM:
防具のないウィドック様が、
その身をもって縫い針10本を受ける勇士を、どうぞご覧下さい!!
では参りますよ?フフフ…
3、2、1、発射っ!!
ウィドック:
…グッ…!!
ロイド:
ほう、なかなかの速さで飛び出してきたねぇw
腹部にすべて命中したようだぁw
ウィドック:
くっそ…!
おい、ちゃんと身体で攻撃を受けてやったんだ!もう抜いてもいいだろ?
GM:
どうぞご自由に。
言い忘れておりましたが、先ほどお渡しした『黒い涙』の塗り薬を使用することも可能ですので!
ウィドック:
誰がこの程度で貴重な『黒い涙』を使うか!
GM:
さぁお遊びはこのくらいにして!
次の攻撃はぁ…?
「サバイバルナイフ1本」です!!
それを防ぐための防具にいくら支払いますか?!
さぁ、1分以内にタッチパネルに入札額をご入力下さい!
サイカ:
そんなっ!
ナイフなんて刺さったら死ぬかもしれないじゃない!!
GM:
ナイフがどこに飛んでくるかはランダムですが、
心臓と顔は避けるようにしてあります!
…そういう設定だったと思います!
確か!多分ね!ハハハ!
フィン:
なんでそんな曖昧なんだよ?!
大事なことだろ?!
ロイド:
刺さりたくないならデカイ金額を打ち込めばいいだけの話だろぉ?
俺はもう入力したぁw
サイカ:
頭のおかしいヤツの意見は聞いてないわよッ!!
GM:
はい、結果が出ました!!
入札額は、サイカ様500円!フィン様450円、ロイド様300円…
先ほど縫い針を食らったウィドック様はなんと301円!
というわけで、1円差で、ロイド様が最低額入札者となりました!
ロイド:
あはははwやるねぇ!!
ウィドック:
ふっ、賭けだったけどな。悪ぃな!
GM:
さぁ!防具を落札できなかったロイド様の一体どこにサバイバルナイフが飛んでくるでしょうか!?
皆様、刮目(かつもく)してご覧下さい!!
…3、2、1、発射っ!!
(SE:刺さる音)
ロイド:
あああ゛あ゛ッッ!!…あははは!!!
サイカ:
いやぁ!!
GM:
おーっと!?
右足の太ももに刺さりましたが、出血が酷いですねぇ!
ピューッと出てますね~!
フィン:
ロイド!!さすがにまずいよ!
『黒い涙』を使って!!
ロイド:
ふ、フフ!
これは、大腿動脈(だいたいどうみゃく)がッ…
傷ついちゃったかなぁ?フフフフ!
ゲームマスター!
さすがに『黒い涙』を使わせてもらうよ゛ぉ!
GM:
ロイド様、了解です。
拘束を一時解除いたします。
ご自分でナイフを抜き、『黒い涙』をお塗り下さ~い。
ロイド:
ひひっ、それは楽しいねぇ゛…せーの!
…ぐああ゛あ゛!!(ナイフを抜く)
サイカ:
こんなの嫌っ!見てられないわっ!
ウィドック:
『黒い涙』を塗った途端、血が急に止まった!本当にすげーぜ…!
ロイド:
いてて…とりあえず大事な血管だけは治るように節約して塗るしか…。
ああ、でも普通なら大手術が必要な怪我が一瞬で!本当に素晴らしい!!
GM:
ロイド様、元の位置にお戻り下さい。
次に参りますよ~!
ん?サイカ様、だいぶ震えておいでですが、大丈夫ですか?
フィン:
サイカさん、もう700円も使っちゃってるから残り300円しかないね…。
サイカ:(ヒステリックに)
うるさいわね!!黙ってよ!!
GM:
フフフ。次の攻撃はぁ…?「拳銃 1発」です!!
それを防ぐための防具にいくら支払いますか?!
さぁ、1分以内にタッチパネルに入札額をご入力下さい!
ウィドック:
もう勝負にならん気がするけどなぁ。
フィン:
ごめんね、サイカさん。
サイカ:
いやッ、お願い!誰かお願い!
私は女なのよ!か弱い女なの!ねぇ!ねぇってば!!
GM:
さぁて、結果が出ました!プププ…
サイカ様、300円!残りの3名は301円!!サイカ様が最低額入札者となりました!
サイカ:
なによ!!ここにいるのは男の風上にも置けないクズどもばっかりじゃない!!
フフフ、さぁ早く撃ちなさいよ!どこでも好きなところを撃てばいいわ!
数々の危険をかい潜ってきた盗賊ナメんじゃないわよ!!
私は強運を持ってるんだからァ!!
GM:
盛り上がってまいりましたねぇ!
弾が当たる場所はランダムとなっておりますので、
サイカ様の盗賊としてやってきた強運がどれほどなのか、皆様も瞬きせずにご覧下さい!!
3、2、1、発射っ!!
(SE:バァン←拳銃の音)
サイカ:
……え?
…痛い…痛いけど……あれ?
ロイド:
頬を掠めただけ…?
サイカ:
あはは……あははは!ほらね!!
言ったじゃない、強運だって!
何が拳銃よ!
当たらなきゃナイフより弱いじゃない!きゃはは!
ウィドック:
どういうことだゲームマスター!
ふざけてんじゃねぇぞ!女だからって手加減しやがったな!!
GM:
いえいえいえそんなことは絶対にございません!
『黒い涙』に誓ってっ!!
フィン:
でも顔や心臓は避けるって言ってたのに、
少しでもズレてたら顔のド真ん中に穴開いてたよね?
GM:
おや?おかしいですねぇ?設定間違えちゃったかなぁ??
まぁこんなこともありますよね!ランダムですから!
さて!気を取り直して次の攻撃に…
サイカ:
は?次の攻撃ってなに?
私はもう所持金ゼロなんだから終わりでしょう?
GM:
は?誰がそんなことを言いました?
誰もさっきのが最後の入札だとは言っていませんよ?
ロイド:
現時点での使った金額は、
ウィドックが602円、俺、ロイドが611円、フィンが801円、サイカが上限の1000円、か。
GM:
次の攻撃はなんと!!「リンゴ 1個」です!!
これを防ぐための防具にいくら入札しますか?!
1分以内に入札額をご入力下さい!
フィン:
は?リンゴ?
ロイド:
拳銃の次は、どんなえげつない武器が飛んでくるかと思いきや…。
サイカ:
んふふ、リンゴなんて銃やナイフに比べたら全然マシじゃない!
どうせみんな1円を入札するんでしょ?
早くしなさいよ!
GM:
サイカ様の本性が見えてきて楽しいですね~!
そして結果が出ましたよ?サイカ様、0円。残りの3名はもちろん1円!
ということでサイカ様が最低額入札者です!
ウィドック:
縫い針、ナイフ、銃と来て、次がリンゴとはな。ふざけやがって。
GM:
ではサイカ様が余裕そうな顔をしているうちにやってしまいましょう。
今回は胴体に当たりますので、腹筋に力を入れておいて下さいね~?
では行きます!3、2、1、発射っ!!
(SE:ドカッ←衝撃音)
サイカ:
ガッ……!!
フィン:
え?いま骨が折れるような音がしたけど…
サイカ、さん?
サイカ:
ぐはぁっ……(吐血)
ウィドック:
落ちたリンゴを見てみろ!
ロイド:
赤い塗装が剥がれて…あれは鉄球ぅ?w
GM:
肋骨(ろっこつ)の折れるイイ音がしましたねぇ!
おや?サイカ様、すごい吐血の量ですが大丈夫でしょうか?
内臓破裂しちゃいましたかねぇ?
フィン:
ゲームマスター!サイカさんは多分『黒い涙』を自分じゃ塗れない!
第三者が代わりに塗ってあげるのはアリなの?!
GM:
サイカ様がそれでOKなら構いませんよ。
ウィドック:
おい女!このままじゃ死ぬぞ!
『黒い涙』を塗ってやる!いいな!!
サイカ:
…っう゛…
フィン:
い、いま頷いた!これでいいでしょう?!
GM:
怪しいところですが、まぁいいでしょう。
誰が塗りますか~?
フィン:
僕が塗るっ!!
ロイド:
いや、俺が塗ろう!
腐っても医者だからねぇ、ふふ。
GM:
では、サイカ様とロイド様の拘束を解きます!
ロイド:
うわぁ、これは酷いw
普通だったら助からないレベルだよぉw
サイカ:
ぐ…っ…はぁ、はぁ……あ、私、生きて…
ロイド:
塗る量は最小限に留めたつもりだけど、
残りは4分の1くらいだねぇw
肋骨は完治していないから、無茶はしないほうがいいと思うよぉ?w
サイカ:
最悪だわ…。
GM:
なかなか面白いものが見れましたので、
第一の間はここでクリアと致しま~す!
ウィドック:
ようやくか…。
おい、ガキ。テメーだけ何もなかったなぁ。
フィン:
…バレたぁ?
伊達に情報屋を名乗っちゃいないさ。
みんなの情報から性格を割り出せば、だいたいの入札額は予想出来るもん。
ウィドック:
しかもお前、さっき女が瀕死の時に
『黒い涙』を塗る役を買って出てたよなぁ?
もしかして全部塗っちまう気だったんじゃねーか?
サイカ:
は?!それは聞き捨てならないわよ!
フィン:
そんなことないよ!
僕はサイカさんを助けようとっ!
ウィドック:
今さら白々しいんだよ!
テメーは信用ならねぇ!
フィン:(豹変して)
チッ…クソが。
あーあ、つまんなーい。
ロイド:
ひひ、ついに本性が出たねぇw
ウィドック:
フン、次の部屋の扉が開いたぞ。行くぞ。
(間)
ロイド:
なっ!!誰か天井から吊るされているっ!
サイカ:
ひ…っ何なのあれ!
包帯みたいなものでグルグル巻きにされてるわ!
フィン:
ちょ、ちょっと皆見て!
吊るされてる人の下に穴が開いてて…
底に何かいるみたいなんだけど…
ウィドック:
冗談だろ…あれは、ワニだ!!
GM:
第二の間で行うゲームはぁ?
「嘘つきゲーム」!
あの上から吊るされている人は、仮にA君とでも呼んでおきましょうか!
A君:
うーっうぅーっっ!!
ウィドック:
なんだと…?!どういうことだ?!
攫ってきたとでも言うのか!
GM:
皆様がA君を『落とす』か『落とさないか』で満場一致したら、このゲームは終わりです!
まずは穴の周りに4つパネルが設置されているので、各自その前に立って下さい。
そしてA君を落とすか、落とさないかを投票して下さい。
誰がどちらに投票したかはわからなくなっていますので、ご安心下さ~い!
サイカ:
そんなの落とさないに決まってるじゃないっ!
GM:
よく考えて下さいね?
A君の正体は、あなた方4人の内の誰かにとって、とても重要な人物です!フフフ。
もう1つヒントを出しましょうか?
A君は子供です。
皆さん心当たりがあるのでは??!
さぁ、制限時間は1分!
「落とす」か「落とさない」か!投票して下さい!
フィン:
は?ちょっと待ってよ、いきなり?!
ロイド:
体格的には小学校低学年くらいか?
…声がくぐもっていて男か女かもわかんないなぁ。
ウィドック:
小学生だと…?何がどうなってやがんだ…!
GM:
では結果を発表します!
「落とさない」3票!
「落とす」1票です!!
ロイド:
なんとなくこうなる気はしたよ。
「落とさない」で満場一致すれば、ゲームは終わりなんだから。
サイカ:
どういうこと?
誰かこの子に心当たりがあるのね?!
ウィドック:
こんなちっせーガキをワニの餌にしようなんてヤツがいるのかよ?!
フィン:
いるんじゃない?
例えば自分に都合の悪い「目撃者」とか。
心当たりはない?
どこぞの殺し屋とか、指名手配犯とか、盗賊とか!
サイカ:
はぁ?
私は物を盗むだけで誰かを傷つけたり、
ましてや殺したりなんかしていない!
別に目撃されたって構いやしないわ!
ウィドック:
俺だったら目撃者はその場で殺す!
こんなクソガキ1匹逃がすわけがねぇ!
ロイド:
俺は整形して顔を変えたからね~w
目撃もなにも、普通に今まで堂々と街を歩いていたさw
ウィドック:
テメーだってガキ同士なんだから、
オモチャ取られて喧嘩した相手とかなんじゃねーのか?あぁん?
フィン:
僕はこれでも二十歳を越えてるって最初に言ったよねぇ?
もう忘れちゃったの?
殺し屋って馬鹿でもなれるんだねー。
ウィドック:
んだとゴラァ!!
GM:
盛り上がってきましたねぇ!
ではここからが本題です。
「落とす」に票を入れたと思う人に投票して下さい!
票数が一番多く入った人は、
5日間餌を抜いてある私の可愛いペットがいる穴に強制的に落とされます!
制限時間は5分!
もし投票が0票だった場合は、A君に落ちてもらいまぁす!
ではスタート~!
フィン:
「4人の内の誰かにとって重要な人物」
…もしかしたら僕の弟かもしれないってことなのか!??
答えろ!ゲームマスター!
GM:
さぁ?
フンフフーン♪(鼻歌)
サイカ:
嘘でしょ、その考えで言ったら…
私の子供かもしれないじゃない…っ!
フィン:
え?!子供がいたの?!
サイカさんって一体何歳なの?!
サイカ:
うるさいわね!!
16で産んだのよ!なんか文句あるッ?!
ロイド:
それなら俺にも心当たりがある。
恋人の連れ子がこのくらいの歳の子だ。
サイカ:
はぁ?!サイコパスで指名手配犯のくせに、恋人がいるとか嘘くさいのよっ!!
ロイド:
酷いなァw
動物の解剖が好きな子でね、とても気が合ったんだぁ。
殺し屋ウィドックは何かないわけー?
ウィドック:
俺は…。
もしかしたら俺が育った孤児院の子かもしれない…。
サイカ:
嘘でしょ?
まさか自分は孤児院育ちで、
殺し屋で稼いだ金を寄付してる〜的な
そんなベッタベタな展開じゃないでしょうねぇ?!
ウィドック:
うるせぇ!!
サイカ:
冗談でしょ…。
でも全員の話が本当なら誰も「落とす」に投票しないハズ!
誰かが嘘をついてる!!誰なのよ?!
フィン:
やっぱりウィドックだよ!
なんだよ孤児院って!
アイスピックで手を刺した時に「もっともっと殺したい」って言ってたじゃないか!
それが孤児院の子供には気を使うとか嘘臭いよ!
ウィドック:
テメーの弟説だって相当うさんくせーじゃねーか?
テメーの成長が止まっちまったのも、恐らく親の酷い虐待かなんかだろ?
それが小さい弟だけは守りたいってか!
そんな弟が居たとしてむしろ憎いんじゃねーか?
虐待もされていない愛されてる弟が!!
サイカ:
胡散臭さで言ったらロイドだって同じよ!
恋人の連れ子と仲が良いっていうのは百歩譲って有りだとしても、解剖が趣味の男よ?!
その子が死んだとしても、ダメージを受けるような繊細さなんてあるはずないわよ!!
ロイド:
俺の何を知ってるんだぁ?w
お前だって、自分の子供が実際にあんなミイラみたいにされて
ワニの餌にされようとしてたら、普通親は半狂乱で取り乱すもんだぜぇ?
子供なんて嘘か、もしくは産んでどっかに預けたままずっと会ってないクソ親か、
どうせ二つに一つだろぉ?w
GM:
おやおや、話し合いで決着がつきそうもありませんねぇ。
ではヒントとして、A君にナイフを投げつけてみましょうか?
その反応を見れば誰が嘘をついているかわかるかも…
サイカ:
いやぁ!やめてよ!
私の子供だったらどうするのよ!死んじゃうわっ!
フィン:
ねぇ、ははは、サイカさん、急に騒ぎ出したね?
「親なら半狂乱になって取り乱すもんだ」ってロイドに言われたから?
サイカ:
いい加減にしてよ!こんなの信じられない!
私は抜けるわ!電気ショックでも何でもやりなさい!その代わりその子は降ろしてッ!!
フィン:
迫真の演技だなぁ?すっごーい!(拍手)
GM:
残り30秒…。
ロイド:
そういえば、フィン君もアイスピックを刺した時にこう言ってなかったっけ?
「どうして僕だけがこんな目に。アイツさえいなければ」って。
アイツって誰ぇ?w
もしかして弟だったりするぅ?w
フィン:
は!?ち、違うよ、それは別に弟のことじゃ…!
サイカ:
フフフ、さっきウィドックが言ったことは
あながち間違いじゃなかったってこと?
自分だけが虐待されて、愛されてる弟に憎悪するなんて
あんただってめちゃくちゃベタじゃない!あはは!
フィン:
違う!違うッ!!
ウィドック:
おーおー。動揺してどうしたぁ?
お前は必死に他の3人を詰(なじ)って、
自分には話が向かないようにしてたもんなぁ?
これって怪しくないかぁ?
A君:
う゛ぅ゛―――ッッ!!
フィン:
はぁ、はぁ…違う、…僕、は…!
GM:
時間で~す!それでは結果を見てみましょう!
「A君を落とす」に票を入れたのはだ〜れだぁ?
サイカ1票、フィン3票!!
嘘つきはフィン様という結果となりました!
サイカ:
きゃははは!!残念だったわねぼうや!
腹黒いこと考えまくった罰よ!!
フィン:
くはは…「落とす」に入れたのは僕じゃない…!
僕じゃないッ!!
このゲームはまだ終わらないぞ?
バか共がッ!!あはは!!
GM:
んふふ、嘘吐きはワニの餌にでもなっていて下さぁい。
さよ~なら~。
フィン:
うああああぁぁああ!!
(SE:バシャーン←水音)
サイカ:
ひぃっ!
落ちたフィンにワニが一気に群がって…っ!
ウィドック:
見ろよ!2匹、いや3匹はいるぞ!
ははは!ありゃ骨まで残らず食われるな!
ロイド:
成長が止まった身体、か…
あーあワニにやるなんてもったいない!
ぜひ俺が解剖してみたかったのにぃ!w
GM:
では次の投票に参りましょう!制限時間は3分!
サイカ:
は?!次の投票って何よ!
GM:
あはは!「落とす」に投票したのはフィン様ではありません!
ですので、もう一度投票で嘘つきを割り出して下さい。
はいスタート~!
ウィドック:
なっ…!ってことはロイド!テメーか!
あのガキに疑いを向けたのはテメーだろ!
ロイド:
いやいや!元々疑ってたのはキミが最初だろ?!
責任転嫁はやめてくれw
サイカ:
もう言い合いはやめて!判らないわよこんなの!
GM:
残り90秒となりましたので、
先ほどやり損ねた、A君へのナイフ投げでもやってみましょう。
えいっ!
(SE:刺さる音)
A君:
んん゛ン゛~~~っっっ!!!
ウィドック:
なっ!!胸にナイフが・・・!
ロイド:
うわっ、噴き出した血が垂れて
下のワニがまた暴れてる…!
サイカ:(激しく動揺して)
ああ、そんな!!イヤよ!タケル…っ!
ハッ!『黒い涙』!
これがあればっ!!
ウィドック:
おいおいやめろ!
そんなところから振り掛けたって、あのガキに届くはずがねぇ!
サイカ:
タケルっ!ごめんね!
ダメなママを許してっ!今治してあげるから…っ!
ロイド:
そんなに身を乗り出したら危ないっ!
サイカ:
え?あっ…!きゃあああああ!!
(SE:バシャーン←水音)
ウィドック:
くっ!バカ女が…!
GM:
おやぁ?これは意外な展開になってしまいましたねぇ!
サイカ様が自らワニのご飯になってしまい、
残り2人となってしまわれたため、このゲームは終了となりま~す。
ロイド:
ふあ~w
ここからだとワニが暴れている水しぶきで、何がどうなってるかわからないなぁ?
もっと近くで引き千切られているところを見たいよぉw
ウィドック:
てめぇ…本物のサイコパスだな。
ロイド:
何を今さらァw
で、そのぶら下がってるゴミは結局誰だったわけぇ?
GM:
フフフ、ただのお人形でした~!
うめき声や血も仕込んだものですよ。
それにしても茶番でしたねぇ。
『黒い涙』で不老不死になろうとしている人間が、
生きている誰かに捉(とら)われるだなんて
滑稽(こっけい)じゃないですか!フフフ
ウィドック:
嘘つきはテメーか、ロイド…。
ロイド:
大~正~解~w
「落とす」に投票したことは隠してたが、話は嘘じゃない。
恋人がいてね、その人には連れ子がいた。
その子の前で恋人を解剖した時にね、テンションが上がっちゃって!
うっかりその子供を逃がしてしまったんだw
整形後の俺の顔を知っているのはその子だけぇ。
ウィドック:
だからこの吊るされてるのがその子だったら、好都合だったってことか。
ロイド:
ま、『黒い涙』を飲んで不老不死になれば
警察なんか怖くなくなるし!
関係ないけどねぇw
GM:
では、残ったお二人は第三の間へどうぞ~!
(SE:扉の開く音)
ウィドック:
なんだ?机が1つあるだけか。
GM:
最後のゲームは至ってシンプルです!
それぞれ5枚のカードを持って頂きます。
カードは、「心臓」、「腹」、「腕」、「足」、「黒い涙」の5枚です。
相手のカードからそれぞれ一枚引きます。
例えば、ウィドック様が、「腕」のカードを引いたとしましょう。
そうすると、係員がロイド様の腕にナイフを突き刺します。
ロイド:
自分が引いたカードが相手への攻撃になるわけかw
GM:
早く死んだ方が負けですので、
いかに「心臓」のカードを最後まで引かせないかという駆け引きが大事です!
あ、「黒い涙」のカードは、今お二人が持っている『黒い涙』を、強制的に全部使い切って頂く、というカードになっております。
何か質問は?
ウィドック:
例えば、二人とも手持ちカードに「心臓」が残ったらどうする?
勝者ナシになるのか?!
GM:
その場合は引き分けとしますので、また別のゲームをしましょう!
そうですねぇ…?
ジャンケンで負けた方が死にましょう!
ウィドック:
舐めやがって!!
GM:
さぁ、1分以内に相手のカードから1枚引いて下さい!
スタート~!
ロイド:
どれが心臓のカードだい?
これ?それともコレ?
ウィドック:
言うわけねーだろうが!
くそ、こんなのただの運じゃねーか!
最後が運ゲーでいいのかよ!
GM:
第一の間では「冷静さ」を、
第二の間では「狡猾(こうかつ)さ」を、
第三の間では、「度胸と運」が試されます!
さぁ、お二人が引いたカードは?!
ロイド様が「黒い涙」のカード!
ウィドック様が「腕」のカードです!
よって、ウィドック様は残っている『黒い涙』を全部使い切って下さい!
ロイド様には係員が腕にナイフを刺します!
ウィドック:
最初に縫い針を腹に食らったくらいで、怪我なんてほとんどしてねーのに…
ちくしょう、もったいねぇ。
係員:
ロイド様、舌などを噛まれないようにお気をつけ下さい。
では、腕に刺します。
(SE:刺す音)
ロイド:
ぐっ…うう゛う゛ッ!!!
GM:
フフフ、痛そうですね~!
出血多量で死んではつまらないのでどんどん行きましょう!
2枚目を引いて下さい!
ロイド:
「心臓」のカードは、どれだい??
これぇ?それともコレぇ?
ウィドック:
うるせーよ!テメーこそどれだッ!!!
GM:
さぁ、次にお二人が引いたカードは?!
ロイド様が「腹」のカード!
ウィドック様が「足」のカードです!
よって、ロイド様には足にナイフを!
ウィドック様には腹にナイフを刺します!
ウィドック:
なんだと?!ふざけんな!
誰が黙って腹にナイフなんか刺されてやるか!
係員:
ウィドック様、逃げれば失格となりますがよろしいですか?
GM:
最終的に勝てば、薄めていない本物の『黒い涙』が手に入るんですよ~?
腹の傷なんてたちどころに治りますよ~?
ウィドック:
ちくしょう!!…早くやりやがれ!
係員:
では、ロイド様は足を、ウィドック様は腹を刺します。
(SE:刺す音)
ウィドック:
ぐああ゛っあ゛ぁ!!!
ロイド:
い゛っッッ…!!
GM:
あーあー。早くしないとお二人とも死にそうですよ?
次のカードを引いて下さい?
ロイド:
さぁ、ど、れにするぅウィドック、ひひひ
ウィドック:
ぐ…っ気でも触れたか?!
楽しそうに、笑いやがって…
GM:
さぁ、お二人が引いたカードは?!
ウィドック様が「黒い涙」のカード!
ロイド様が「心臓」のカードです!!
よって、ロイド様は『黒い涙』を使い切って下さい!
ウィドック様には……
死をッッッ!!!
ロイド:
あ~助かったァ、あはは、痛かったなぁ!
けど、我慢した甲斐があったよ!
すごく楽しかったァァ!!
ウィドック:
なっ…どういう、ことだっ!!
ロイド:
俺は腐っても医者だよォ?
人の顔色を見るのは得意だ。
君は分かりやすすぎ!くっくっくw
ウィドック:
カードがわかってたんなら、なぜ最初に「心臓」のカードを選ばなかった!
テメーまでいらねー怪我してんじゃねーか!
ロイド:
それじゃつまんないよ。
俺が立て続けに怪我をすることで、
「勝てるかも」と思っただろォ?
じわじわ死に追いやるのは俺の得意技なんだ、あははは!
ウィドック:
そんな悠長なことしてる間に、
たまたま俺がテメーの心臓のカードを引いちまったらどうするつもりだった!!
ロイド:
キミは、一番最初に当ててたよ?
俺の心臓のカード。
ウィドック:
なん、だと?!
だって、最初に俺が引いたのは「腕」のカードだったはず!
ロイド:
すり替えたんだァ!
ゲームマスターはイカサマ禁止なんて言わなかった!
キミにバレさえしなければ何も問題ないんだよ!!
GM:
んふふ、その通りでございます!
さぁ、敗者はさっさと死んで下さい。
…おい、はやく殺やれ。
係員:
かしこまりました。
さようなら、ウィドック様。
(SE:刺す音)
ウィドック:
…ぐあああッッッ!!
ぐ、ぞぉお…!!!!…う゛……(絶命)
GM:
ロイド様、おめでとうございます!!
第四の間にて、『黒い涙』を差し上げますので、
どうぞご自身で次の扉を開いて下さい!
ロイド:
やっとかァ!待ち焦がれたよw
随分重厚な扉だなぁ…んーっしょ!
(SE:歓声)
ロイド:
なっ!なんだここは?!ステージ?
人がたくさんいる・・・!
フィン:
おめでとう!ロイド〜!
素晴らしいショーだったよ~!
ロイド:
フィンっ!!
お、おまえは、落ちたはずだ!ワニに食われたはずだろ?!?!
フィン:
いやぁ、ゲームマスターもお疲れ様でしたぁ。
どうでした?『デスゲームの司会者』は。
GM:(↓急に素に戻った感じで)
すっっごく興奮したぁぁぁ!
めちゃめちゃ楽しかったよぉ!
『デスゲームの司会者』が10億で落札出来るなんて、ほんとラッキーだったけど、まさかこれほどとはね!
僕は上手く出来てたかなぁ?!
フィン:
最高でしたよ!
館(やかた)の主人感がとっても出てました!
GM:
あはは!よかったぁ!
あ、これ、あとで録画データも貰えるんだよね?
フィン:
もちろんです!
『デスゲームの司会者』は、今後も定期的にオークションに出品しますので、
ぜひまたご参加下さい!
GM:
もちろんだよぉ!もう興奮がすんごいっ!
ふはぁ!最っっ高のキブンだっ!!
ロイド:
ど、どういうことだ…?
デスゲームの司会者?オークション?
フィン…まさかお前が本当の館の主人!?
ということは、お前が不老不死…?
フィン:
そうだよ~?驚いたぁ?
あはは。ワニにムシャムシャされても生きてるなんてすごいでしょー?
『黒い涙』はそのくらいすごいんだよ!
驚きついでにもう1つすごいものを見せようか!
サイカさぁん?
サイカ:
う…ア゛ぁ゛…
ロイド:
ひっ…!
フィン:
サイカさんも助けておいたんだぁ♪
まぁ色々ワニに噛み千切られちゃって、
急いで『黒い涙』でくっつけたら
なんかフランケンシュタインみたくなっちゃったけど…
これはこれで可愛いよねぇ?
サイカ:
ロ、イ゛…たす、げ…たすけ、てヨぉ…
ロイド:
なんてことだっ!
素晴らしいにも程があるッ!
あはは!これで生きてるなんてッ!!
フィン:
サイカさん?
最後まで生き残ったロイドに、
本物の『黒い涙』を渡してあげて?
サイカ:
う…う゛ぅ……っ
ロイド:
ああ…っコレが!
コレが本物の『黒い涙』か!
こんなショットグラス1杯で不老不死になれるのかい?!
フィン:
うん!なれるよ~!
サイカ:
地獄に、オチ、ろぉ…!
ロイド:
ふははw俺を恨むのはお門違いだろう?
俺は不老不死になる!
不老不死になるんだァァァ!…ゴクン!
サイカ:
ふふ、ふフフ…
ロイド:
う゛っ…なんだ?!
…立っていられない…っ
ぐっ!(その場に倒れる)
サイカ:
きゃハハ!これ、で!
これでアンタも、これから地獄を、見る、ノよぉ…!
ロイド:
な、何の話だ…!
生き残った者には『黒い涙』を渡すと言ったろ?!
嘘をついたのかァァァァ!??
フィン:
嘘じゃないさ。
それは正真正銘、不老不死をもたらす『黒い涙』。
約束は守ったよ~?
ロイド:
身体に力が、入らない…!
く、そ!どういうことなんだ!!
サイカ:
きゃはは!
フィン、まダなの?!
まだやら、ナイのォ?!?!
フィン:
皆様っ!!
それでは本日のメインオークションに入りたいと思います!!
本日の目玉は!『不老不死の男』!!
ロイド:
なっ…!!
フィン:
色々な実験が出来ますよぉ?
煮てよし、焼いてよし、切り刻んでよし!
何度でも再生しますっ!
猟奇的なお客様のご期待にこれ以上添える商品はございません!!
では、50億から!!
GM:
うはぁ!これは僕も参加しなくちゃぁ!70億!!
観客:
100億!!
フィン:
100億出ました!
さぁ、もっと上は?あはははは!!
サイカ:
『黒い涙』と、強力な痺れ薬を、混ぜタのよ?
あんたは、これカラ金持ちのサイコパスに
ずーーーーっっっと、実験、され続けるんダわァ!
きゃはハは!!!!!
ロイド:
あ…あ…
GM:
150億!!
観客:
200億!!
フィン:
永遠に生きることが楽しいと思う?
金がどれほど役に立つと思う?
おまえらのクソみたいな願いは、
100年もすれば飽きて、200年もすればなーんも感じなくなる。
つまんないつまんないつまんないつまんないッッッ!!
僕だってこんな風に、普通に死にたいんだッ!!
(SE:刺す音)
サイカ:
え゛?……痛い゛…
イ、タ、…ぐはぁっ!
フィン:
人はこんなに簡単に死ねる!!
なんて羨ましいんだ…っ!!
サイカさん!一人で逝かないでよ!
ねぇ!僕も連れてって!サイカさんッ!
サイカ:
ふ、フフ…ホントウに可哀想なコね…
フィ、ン………う゛っ…(絶命)
フィン:
うぅ…っ(泣く)
フフフ。
ロイド…僕とオトモダチになろう?
ここに居るのは、君に負けず劣らずの
えげつない趣味を持つお客様ばかり。
誰に落札されるかなぁぁぁ???
GM:
250億!!
観客:
300億!!
ロイド:
あはは!!まだまだ解剖したかった、のに…!
お、俺が、解剖される側になる、のか…?
そんな…あは、あははははh!
フィン:
50年後、いや、100年後にでも様子を見に行くね?
先祖代々狂った家系が多いから、
誰が落札してもきっと可愛がってもらえるよ?
観客:
いくらでも出す!
家にはもう立派な拷問部屋もあるんだ!
すぐにでも飼える!400億だッッ!!
GM:
そのくらい僕の家にもあるよ!
デスゲームに使ったワニだって僕の自前だったんだ!
僕が落とすっ!!500億ッ!!
ロイド
フィン…。
君のスペルは、エフ、アイ、エヌで、
終わりを意味する「Fin.(フィン)」だったわけか。
ははは!君に会った時点で、俺たちは終わってたってことじゃないか!!
…ククク、笑えるッッ…
クソっ!クソぉぉぉぉ!!ひゃははは!!
(間)
フィン:
あーあ…つまんないなぁ…
つぎはなにしてじかんをつぶそう…
いくらでも払う…っ!
何でも、するから……っ!
だれか ぼくを
殺してください…
End.
―――――――――――――――――
作者レイフロ
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