フログニアタウンのチョキチョキ(4人台本)
『フログニアタウンのチョキチョキ』
フログニアタウンシリーズCase.3
(シリーズ物としていますが、1話簡潔なのでCase.1、2を知らなくても単体で使えます)
【ジャンル:ほのぼの】
【所要時間:40分程度】
●台本をご使用の際は、利用規約をご一読下さい。
●上記イメージ画像は、ツイキャスで生声劇する際のキャス画にお使い頂いても構いません。(配役等の文字入れ可)
【人物紹介】
●カジカ(不問)
歌声以外すべてが謎の天才シンガー。
全国ツアーを控えている。アメとは古くからの友達。
一人称「ミィ」
●アメ(不問)
食いしん坊でおっとりさん。移動販売の飴屋をしている。
一人称「僕」
●ドゥリット(不問)
美容師。とてもおしゃれ。我が道を行くタイプ。フランスかぶれだが行ったことはない。
一人称「おれっち」
●ハナサキ(不問)
美容師。足が長くてスタイリッシュ。カリスマ美容師なのに極度の心配症。
ドゥリットの高校の後輩。
一人称「うち」
【演じる際の注意点】
★全キャラクター性別不問で、年齢設定もないので、男女比率は自由です。
女性が少年のように演じても、男性が女性のように演じても構いませんが、
オカマのような特殊なキャラにはしないで下さい。
★一人称は変えないで下さい。(例えば一人称が「俺」というキャラを女性が演じる場合も「俺」のままにして下さい)
★アドリブを入れても構いませんが、世界観を無視する/共演者に迷惑をかける/聴いている方が不快になるようなアドリブは絶対に止めて下さい。
↓生声劇等でご使用の際の張り付け用
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フログニアタウンのチョキチョキ
作:レイフロ
カジカ:
アメ:
ドゥリット:
ハナサキ:
https://reifuro12daihon.amebaownd.com/posts/36164859
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以下、台本です。
ナレーション(ハナサキ):
ここは、美しい緑と綺麗な水に恵まれた、フログニアタウン。
多種多様な人々が混在するこの町では、それぞれの個性を尊重し、敬(うやま)いながら、
今日も、『おおむね』平和な日々が流れている。
カジカ:
はぁぁぁぁぁ(深いため息)
ミィはただ、歌いたいだけなのに…
どうして人はもっと多くを求めるんだろう?
ナレーション(ハナサキ):
おや?
言った側から、おおむね平和ではないことが起こる予感がしますね。
フログニアタウンに住む彼らの日常を、少し覗いてみましょう。
(間)
ラジオDJ(ドゥリット兼役)
続いては、来月から初の全国ドームツアーをスタートする、
謎多き天才シンガー『カジカ』の曲をお送りします。
神の歌声ということで一気に世界的にも有名になりましたが、
その歌声以外の全てが謎!
今回のツアーでその容姿が明らかになるということで話題になっていますね~。
ではお聞き頂きましょう。
カジカで「Whereabouts of the heart(ウェアアバウトオブザハート)」
(間)
アメ:
こんなに天気のいい日は、ラジオを聞きながら川辺で休憩が捗(はかど)るなぁ。
カジカ:
いや、働こうよ?
アメ:
やぁ、誰かと思えば!久しぶりだね、カジカ。
カジカ:
ユゥは相変わらずのんびり屋さんだね、アメ。
アメ:
僕はこれから配達に行くんだからめちゃくちゃ忙しいよぉ。
ふぁぁ(あくび)
カジカ:
その割には立ち上がる気配すらないけど?
アメ:
あ、さっき聞いたよ?
全国ツアーやるんだって?おめでとう!
カジカ:(元気なく)
うん…ありがとう…
アメ:
嬉しくないの?
沢山の人の前で歌うこと、夢だったじゃないか。
カジカ:
今回のツアーでミィは初めて人前に立つんだ…。
みんなガッカリしないかな?!
アメ:
がっかり?
カジカ:
だってミィは、歌声以外何も良いところがないっていうか!
アメ:
確かに君は見た目が地味だね。
カジカ:
グサッ!
アメ:
普段は存在感もないしオーラもない。
カジカ:
グサッ!!
アメ:
あとその長い前髪なに?全然似合ってないよ?
カジカ:
もうミィのSAN値(さんち)はゼロだよ!真剣に悩んでるんだってば!
ミィが出てきた途端、こんな華もない地味な奴が歌ってたのか?って
会場中がガッカリするんじゃないかって!
アメ:
わかった〜SNSで自分の名前をエゴサしたんでしょ?
カジカ:
ウ゛ッ…!
アメ:
図星かぁ。
カジカ:
ミィの姿は、ファンの間でとんでもなく美化されてるんだ!
世にも美麗な顔立ちで、知的で、背中には羽が生えてて、
まるで天使みたいな姿なんじゃないかって!
アメ:
神の歌声って言われてるのに、姿は天使ってなんか変だね?
カジカ:
ツッコむところはそこじゃない!
アメ:
別に気にする必要ないんじゃない?
キミはその歌声一つで歌手になったんだから。
カジカ:
そうだけど…でも歌声に見た目が伴ってなかったら、皆ガッカリすると思うんだ…
そう思ったら急に怖くなってきちゃって…
(間)
ドゥリット:
髪を梳(す)く時はシュッ!チョキッ!シュッ!チョキッ♪
さぁ、急げハナサキ!
髪の毛は待ってくれないぞ〜?
ハナサキ:
待ってくらさいよドゥリット先輩~、これ結構重たいんだからぁ!
ドゥリット:
軟弱者めぃ!こうしている間にも髪はどんどん伸びる!
あーっ皆の髪が呼んでいる!おしゃれに切ってくれと呼んでいるっ!
ハナサキ:
そんなに気合い入ってるなら運ぶの手伝ってくれたってぇ…
ドゥリット:
弱音を吐くな!そんなことじゃいつまで経っても独り立ち出来んぞ!
ハナサキ:
それは特大ブーメランれすからねぇ!
はぁ…重いぃぃ
ドゥリット:
練習のためだ!スッと運べぃ!
ハナサキ:
わ、わかってますよぅ。
う、あ?グラグラする…うわぁ!(転ぶ)
ドゥリット:
バカ落とすなよっ!土手の方に転がってっちゃったじゃないか!
あ~川に落ちるー!
カジカ:
ん?何だろうあれ?
うわああ!生首がいっぱい転がってきてるぅぅ!?!
ハナサキ:(遠くから)
そこのお方ぁ!首拾ってくらさいなぁ!
ドゥリット:(遠くから)
すんませーんっ!それおれっち達の首なんですーっ!
カジカ:
「おれっち達の首」って何?!怖い!サイコパス?!
アメ:
落ち着いて。よく見て?
カジカ:
ひぃ!持ってこないでぇ!
ってこれ…マネキン?
ハナサキ:(駆け寄ってくる)
す、すみませんっ!大丈夫れしたか?
あっ!アメさんじゃないれすか!
アメ:
やぁハナサキ君、最近は道端に首をバラまくのが流行ってるのかい?
ハナサキ:
そんな斬新すぎる流行りは嫌れすよぅ!
ドゥリット:
アメじゃないか!ボンジュー!再会のハーグーっ!(抱きつく)
アメ:
スッ(避ける)
ドゥリット:
なんで毎回避けるんだッ?!
アメ:
ススッ(避ける)
ドゥリット:
ハグは挨拶だというのに!
アメ:
スススッ(避ける)
ドゥリット:
はぁはぁ、失礼な奴めぃ!
アメ:
知ってる?友達との挨拶は「やぁ」で事足りるんだよ。
カジカ:
あっ、あのぉ…これ…
ハナサキ:
どぅわぁ!びっくりした!いつから居たんれす!?
カジカ:
ずっと居たんですけど…
ドゥリット:
これは失礼!ウィッグを拾ってくれてメルシー!
カジカ:
ウィッグ?
ハナサキ:
美容師がカットの練習に使う、首から上だけのマネキンのことれす。
カジカ:
では貴方がたは美容師さん?
どおりでお二人ともおしゃれでカッコイイわけだ…
ドゥリット:
美容院「merci(メルシー)」の美容師!ドゥリットだよ!
以後、盛大にお見知りおきを!
ハナサキ:
ハナサキれす、よろしくお願いします。
ドゥリット:
それはそうとアメ!
注文した飴はいつ届けてくれる?もう在庫が切れそうだ!
アメ:
今から届けようとしてたんだよぉ。
ハナサキ:
え?てっきり河原で日向ぼっこしてるのかと…
カジカ:
そういえばアメはいま飴屋さんだったね?
ミィにも何か元気が出るような飴はない?
アメ:
それなら今日のラインナップがぴったりだよ!
この3種類の飴をいっぺんに食べると、勇気と幸福と希望がみなぎるよ!
ハナサキ:
悪徳商法みたいな売り文句!
一体何味なんれすか?
ドゥリット:
アメの飴はどうせ変な味さ!
赤は唐辛子、青は青汁、黄色はカレーと見た!
アメ:
全然違うよ!
赤は消防士味、青は青い鳥味、黄色はガラパゴス諸島味だよ!
ハナサキ:
思った以上に食べたくない味ばっかり!
カジカ:
それを一気に食べるの?!
でも今は藁(わら)にでもすがりたい…!
1つずつくださいな!
アメ:
まいどぉ、30ルエカになりまぁす。
カジカ:
カードは使えないよね?確か非常用の現金が…
あった!1万ルエカ!
アメ:
あ、ごめん…そんなにお釣りの手持ちが無いや。
ハナサキ:
今から飴届けにきてくれるなら一緒に行きましょうよ!
お店で両替も出来ますから。
アメ:
そうだね!
カジカ、時間があるならついでに美容院見学させてもらわない?
ドゥリット:
ぜひ来てくれ!
見せてあげるよ!華麗なる美容師の繊細かつ緻密なお仕事をッ!
ハナサキ:
華やかな職に見えて結構バタバタれすけどね。
アメ:
自分の知らない世界を見るって楽しいよ?行こうっ!
(間)
ハナサキ:
チョキチョキ…
もう2ミリくらい短くした方がスタイリッシュになるっすかねぇ…
ドゥリット:
キュッキュっと!鏡の拭き掃除完了!一点の曇りもなし!
カジカ:
ハナサキさんはドールでカットの練習…
ドゥリットさんはお掃除…開店前は忙しそうだなぁ。
ハナサキ:
何のお構いも出来ずすみません。
アメ:
急に見学したいって言ったのはこっちだから気にしないで~。
はむっ、むぐむぐ。
カジカ:
アメ!なんでお菓子食べてるのさ!それ美容院のでしょ?!
アメ:
カラーやパーマで長時間かかるお客さんに出す用のお菓子だってさ~
カジカ:
勝手に食べちゃダメでしょ!
アメ:
んあ~!返してよぉ!お菓子食べないなら何しに来たのさ!
カジカ:
美容師のお仕事を見学に来たんでしょぉ?!
ドゥリット:
アメはタダで飴を配達もしてくれる代わりにお菓子を食べていくんだ!
配送料代わりだからいいんだよ!
アメ:
はぐはぐもぐもぐはぐはぐもぐもぐ
カジカ:
これじゃあ配送料より高くつきません?!
ドゥリット:
あっはは、その通りなんだけどね!
でもアメの飴は人気があるから。
アメ:
そうそう!ぎぶあんどてーく!
ハナサキ:(自信なさげに)
ドゥリット先輩、これ後ろ切りすぎれすかね?!
左右とのバランスを考えるとこのくらいの方がいいかと思ったんれすけど、
どう思います?!
ドゥリット:
横のバランスはいいけど、髪質によってはピョンコラ跳ねるから、そうするとー…
カジカ:
ドゥリットさんって後輩の面倒見もすごくいいんですね!
ドゥリット:
あー、ハナサキは確かにおれっちの高校の後輩なんだけど、
ココではハナサキが先輩でもあるんだ。
カジカ:
美容師になったのはハナサキさんの方が先なんですか?
ドゥリット:
ウィ!たまたま入った美容院でハナサキに再会してね。
夢を叶えてキラッキラで働くハナサキを見てたら、
おれっちは居てもたってもいられなくなったってわけ!
ハナサキ:
先輩は当時やってた仕事をすぐ辞めて、美容学校に入ったと思ったら
2年ちょっとで免許を取って、
毎年新規採用を1名しか取らないここの美容院に合格したんれす。
カジカ:
え!すごい!
でもさっき美容師としては先輩のハナサキさんに、カットのアドバイスされてましたよね?
ハナサキ:
先輩ってすごくおしゃれでしょ?
美的センスが高いから、バランスを見させたら完璧なんれすよ!
アメ:
とか言ってるハナサキくんは、この美容院のカリスマ美容師なんだけどねぇ。
ハナサキ:
うちなんてまだまだれすよ!
根が心配性なだけにまだ全然自信が持てなくて…
カジカ:
カリスマ美容師って認められてて容姿もカッコいいのに
自信が持てないなんて…
ドゥリット:
勿体ないよなぁ。でもヘアカットは日々進化してるんだ。
カリスマ美容師なんて肩書きにあぐらをかいてたらあっという間に置いて行かれるから
そのくらいの方が丁度よくもあるけどな!
カジカ:(独り言のように)
自信がないことがプラスに働くこともあるんだ…
アメ:
まだ前髪カット担当の新人が、口だけは一人前だねぇ。
カジカ:
前髪カット?
ハナサキ:
500ルエカで前髪だけのカットも出来るんれすよ。
アメさんもちょこちょこ利用してくれてます。
カジカ:
アメも意外と外見に気を使ってるんだね?
アメ:
僕も客商売だよぉ?清潔感は大事!
カジカ:
その割にはさっき河原でゴロゴロ寝転んでたけど…
ハナサキ:
あっ今日は新規の予約が入ってるんれした!先輩どうしましょう?!
ドゥリット:
どうしましょうってお前なぁ?
「merci(メルシー)」のカリスマ美容師がいつまでもそれじゃあ困るぞ~?
ハナサキ:
だって雑誌見て来店してくる人は、高確率で「おまかせで」とか言ってくるんれすよぉ?
それ言われる度に、うちの心臓はどっかに飛んでいっちゃいそうれすよぅ!
ドゥリット:
何を弱気なことを!
お前はおれっちが見惚れた美容師なんだから、もっと自信を持て!
カジカ:
雑誌にも出てるんですか?!
アメ:
カリスマ美容師特集見たよー。
ハナサキくん、足も長くてカッコいいし写真映えしてたね~。
ハナサキ:
いやぁ、足が長いのは生まれつきなんで(照)
ドゥリット:
おれっちだって後ろの方に写ってるんだからな!
ほら見ろ!おれっちの隠し切れないオーラを!
アメ:
ハナサキくんの後ろで見切れてるだけだし、
これオーラじゃなくてピンボケしてるだけだろー?
ドゥリット:
違いますぅ、これはおれっちのオーラが強すぎるんですぅ!
カジカ:
ハナサキさん!
自信が持てないことが逆に向上心に繋がるんだとしても、
お客さんの前で不安そうにするわけにはいきませんよね?一体どうしてるんですか…?
ハナサキ:
接客が苦手だったうちに、ドゥリット先輩が言ってくれたんれす。
『お前の腕はすごいんだから、お客さんの前では不安はチョキチョキ断ち切って、
カリスマ美容師になりきれ!』って。
カジカ:
不安はチョキチョキ…?
ドゥリット:
よーし、開店の時間だ!
ハナサキ!切り替えるぞ!お前は「merci(メルシー)」のカリスマ美容師だ!
ハナサキ:
はい!
ドゥリット:
よろしくお願いします!ハナサキ「先輩」!
ハナサキ:
今日も効率よく回せるように頼むよ、「ドゥリット」!
カジカ:
わっ!二人の先輩後輩の関係が逆転した…!
アメ:
あれが二人の仕事モードなんだよ〜
(SE:カランカラン)
ドゥリット:
いらっしゃいませ、「merci(メルシー)」へようこそ!
ハナサキ:
ご予約のお客様れすね?お待ちしておりました。どうぞこちらへ。
カジカ:
二人ともキリッとしてかっこいいなぁ…
ドゥリット:
シャンプーお疲れ様でした。
ハナサキ先輩!カットお願いしまーす!えっと、次は…
ハナサキ:
ドゥリット、そちらのお客様はトリートメント希望だから急いで!
ドゥリット:
はい!すみません、すぐやります!
カジカ:
ミィもこんな風にお客さんの前では切り替えられたらいいのに…
アメ:
それならカジカ、その長い前髪切ってもらったら?
カジカ:
こ、これは…!
今度のライブで少しでも顔を隠そうと思って伸ばしてて…
アメ:
ドゥリット~!前髪カット一丁ぉぉぉ!!
カジカ:
ええ?!そんなラーメン頼むみたいに!?
ドゥリット:
ウィームッシュ!
カジカ:
まさかのフランスっぽい返事返ってきたー!
ハナサキ:
先輩はフランスに憧れてるんで!
行ったことはないみたいれすけど。
ドゥリット:
さっ、こちらへ!ちょうど今お客様が途切れたよ!
カジカ:
あっあっ、でもミィは!
ドゥリット:
一瞬で華麗でビューティフルでメルシーな前髪にしてみせますよ!
カジカ:
ドゥリットさんの腕を疑ってるわけじゃないんですけど、
でも…前髪を切ったくらいで何か変わるとは思えなくて…
ハナサキ:
貴方もなにか、自分に自信を持って臨みたいことがあるんれすね?
大事なのは、髪を切ることで貴方が自分の何を満たそうとしているのかってことれす。
ドゥリット:
髪型の変化はアイデンティティを触発する。
髪を切るというのは、自分の中の何かを変えたい人には持ってこいの行為であると、
おれっちは思うね!
カジカ:
自分の何を満たしたいのか…
ミィのアイデンティティ…
アメ:
嫌なら切らなくていいんだよ。
今のキミだってキミなんだから。
カジカ:
ううん…やっぱり前髪切ってもらおうかな!
き、緊張するけど…
ドゥリット:
メルシ!このドゥリットにおまかせあれ!
ハァァァ!(気合い)
ハナサキ:
お、出るぞ!ドゥリットの得意技!
『緊張したお客様の緊張を解くために天気の話をするのは無駄だから、
それなら緊張が解ける前に一瞬で素敵な前髪にしちゃえば
お客様もスゴーイってなって結果的に緊張もほぐれるじゃん!カット!』
アメ:
ながっ!
ドゥリット:
とか何とか言ってる間に終わりましたよ!いかがですか?
カジカ:
わっ!スゴイ!前髪を切っただけでこんなに印象が変わるもの?!
ミィじゃないみたいです…っ!
ハナサキ:
とても素敵れすよ!
カジカ:
ありがとうございます…!気持ちが少し明るくなりました!
あ、やば!リハの時間!
今1万ルエカしかないので、これでカット代お願いします!
ハナサキ:
前髪カットが500ルエカなので、お釣りは…
カジカ:
ごめんなさい!時間がないのでお釣りは取っておいて下さい!
見学させて頂いたお礼です!では…っ!
ハナサキ:
そんなわけには!あ、ちょっとー!
(SE:カランカラン)
ドゥリット:
行ってしまったね。さすがに1万ルエカは貰いすぎだ。困ったなぁ。
アメ:
僕も飴を渡しそびれたよ。
そうだ!お釣りを返したいなら僕に言い考えがあるんだけど、
二人とも耳かして?
(間)
カジカ:
ミィは沢山の人の前で歌いたいんだ…!
不安なんてチョキチョキして、ちゃんと前を見よう…!
よーし!やるぞーっ!
(間)
ハナサキN:
ライブ当日。舞台袖にて。
カジカ:
5万人収容のドームが満席…
しかもTVとラジオで同時生中継だし…ムリムリムリムリぃぃぃ!
きっと明日にはSNSに…
(↓男性演者さんは裏声でw)
JK(アメ兼役)
『ねぇ昨日のカジカのライブ観たぁ?!まじやばくない?地味の極みだったんだけどウケる~』
JK(ドゥリット兼役)
『あんな陰キャの歌を今まで聞かされてたとかやばすぎ~何様って感じぃ』
JK(ハナサキ兼役)
『ちょっと有名だからって調子ノッてんのかなぁ?あほくさ〜ファンやめたわ~』
カジカ:
って書かれちゃうんだぁ!!
地味で華もオーラもないミィが表に出たら叩かれる…。
バカだ…前髪切ったくらいで変われるわけないじゃん…。
あ、今なら仮病使ってライブ中止に出来るかも?!
マネージャーさぁん!
急にお腹がドクンドクンして喉がパンパンに腫れて骨がバキバキのグネグネにぃぃぃ!
どうぇいっっ!!
(人とぶつかって転ぶ)
カジカ:
いたたぁ…
スタッフさん、ごめんなさい!どうしよう荷物全部ひっくり返っちゃった!
ってコレ、大量の飴?ミィ宛の荷物なんですか?
手紙も付いてる…どれどれ…?
【以下、手紙内容】
ハナサキ:
『先日はご来店ありがとうございました!
まさか貴方が有名な歌手のカジカさんだったなんてびっくりれす!』
ドゥリット:
『前髪の調子はどうかな?視界がパーッと開けて、さぞやお客さんの顔がばっちり見えるだろう?』
ハナサキ:
『先輩!そんなこと言ったら余計緊張してしまうのでは?!』
ドゥリット:
『初のライブで緊張する!自信が持てない!元気が出ない!
そんな貴方に、本日はピッタリの商品をご紹介しまーす!』
ハナサキ:
『急にテレビショッピング始まったー!』
ドゥリット:
『紹介してくれるのは、「世界・飴食べ食べ連合」会長、アメさんです!シル・ブ・プレ!』
アメ:
『どうも、「糖分連合飴玉協会」会長、アメです!』
ハナサキ:
『肩書きがブレブレ!』
アメ:
『自分の中のシガラミをチョキチョキしたい貴方には、これをお送りしましょう!
まずは、勇気の出る、消防士味の飴を300個!』
ドゥリット:
『幸せになれる、青い鳥味の飴、300個!』
ハナサキ:
『希望が満ちる、ガラパゴス諸島味の飴300個!』
ドゥリット:
『ブラヴォ!これらを全部食べれば不安は全て解消されるんですね!』
アメ:
『その通り!しかも今なら!おまけで吐息味の飴も50個お付けします!』
ドゥリット:
『ワオ!でもお高いんでしょお??』
ハナサキ:
『今回はカット代のお釣りを渡しそびれたので、店からの餞別なのれす!』
ドゥリット:
『トレビアン!ぜーんぶ食べてライブ頑張ってくれたまえ!』
ハナサキ:
『全部はさすがに糖分過多でハイになりません?!』
アメ:
『カジカ、自分にとってチョキチョキすべきなのは何なのかよく考えて?
ライブでキミが皆に届けたいことは、なに?』
【手紙内容_終】
カジカ:
ライブで皆に届けたいこと…か。
ふふ、元気づけるにしても変な味の飴が950個って!
これ全部食べてたらライブが終わっちゃうじゃないか!
あはは!おっかしいの!
カジカN:
ミィは大量にぶちまけた飴を前に、腹を抱えて笑った。
そして、勇気と幸福と希望の飴を1つずつポケットに忍ばせて、夢の舞台へと立つ。
ミィの姿にスポットライトが当たった瞬間、会場はざわついた。
本当にチョキチョキしたいのは、外見からくる不安なんかじゃない。
自分のことを信じてあげられない後ろ向きな気持ちの方だ。
歌はミィに「自分は自分でいい」ってことを教えてくれた。
みんなに届けよう…!ミィの生の歌声を!
他人軸で生きなくたっていい。
自分の好きなことを見つけて欲しいってことを、届けるんだ…!
(間)
ラジオDJ(ドゥリット兼役)
『はぁ…まじで生歌ヤバ…天使かよカジカ…
え?もう音声入ってる?し、失礼いたしました!
カジカのドームツアー初日の様子を生放送でお送りしました!
第一声から鳥肌がぶわぁっと立って、息をするのも忘れる程の圧巻のライブでしたね!
番組に届いたメールにも「カジカはやはり天使だった!」「天使超えて大天使!」と
賞賛の声が届いております。今後もカジカの活動から目が離せませんっ!』
アメ:(鼻歌)
ふんふふーん♪
ハナサキ:
あ!アメさーん!
サボってカジカさんのライブ聴いてたんれすか?
アメ:
サボるなんて人聞きが悪いなぁ。
ボクは年中無休で飴屋さんをしてるんだから、もはやブラックだよ!
あー可哀想!僕は休憩も許されないのかぁ!
ハナサキ:
ブラックって、アメさんは個人経営じゃないれすか!
アメ:
キミたちは聴かなかったの?
ハナサキ:
ドゥリット先輩とさっきまでTVの生中継見てましたよ。
カジカさんは、歌うことで爆発的に存在感もオーラも放つんれすね!
アメ:
そうだよ。そもそも歌声ひとつで世界的にも有名な歌手になったんだから、
何も気にする必要なんてなかったんだ。
歌えば全ての人を魅了できちゃうんだから。
ドゥリット:(ぶつぶつ言いながら)
よぉし…ここまで切ったらフリック&ターン!シュッ!チョキ!
ハナサキ:
ドゥリット先輩!エアーでカットの練習しながら歩くのやめてくらさいよぉ!
ただでさえうちの足が長いから先輩は遅れがちなのに。
ドゥリット:
サラッと足長を自慢するんじゃない!
今は1分1秒が惜しいんだ!
カジカの素敵な前髪を切ったのはおれっちなんだぞ?
世界中からお客さんが来たらどうする!
ハナサキ:
その前に早くフルでカット出来るようになってくらさいよ!
アメ:
ハナサキくん、お釣り分の飴を送ろうっていう提案受けてくれてありがとうね。
あの大量の飴が役に立ったかはわからないけどさ。
ハナサキ:
素敵な提案れしたよ!お釣り渡さないわけにはいかなかったし、
少しでも笑顔になってくれてたらいいれすね。
ドゥリット:
そうだ!あの時のカジカの前髪カットに名前を付けよう!
その方がオーダーの時に分かりやすい!
アメ:
また変なこと言い出した…
ドゥリット:
おれっち達の励ましがあったからこそ、あのライブは成功したといっても過言ではないしな!
ハナサキ:
それは大げさなんじゃあ?
ドゥリット:
そうだなぁ…
『ソング&キャンディー!メルシニストカット』にしよう!
アメ:
ダサ!メルシニストって意味わかんないし!
ネーミングからドゥリット臭(しゅう)がする!
ドゥリット:
おれっちが臭いみたいに言うなよ!
メルシニストは、メルシーの三段活用に決まってるだろう!
メルシー・メルサー・メルシニスト!
最上級の「ありがとう」だ!
ハナサキ:
かっこよ!!
アメ:
え?ハ、ハナサキくん?
ハナサキ:
愛があふれてるじゃないれすか!さすが先輩れす!
アメ:
ハナサキくん、どんどんドゥリットに毒されてない?!
(SE:着信音)
ハナサキ:
おっと電話…はい、ハナサキれす。
カジカ:
すみません、カジカです!
飴を送って頂いた伝票に番号があったものですから、お礼のお電話をと思って…
ハナサキ:
ちょうど良かったれす!
ライブの成功おめでとうございます!
カジカ:
ありがとうございます!
なんかSNSで、「あの控え目な姿は、天使が人間界に紛れ込むためのカモフラージュなんだ」って
褒められてるんだか貶(けな)されてるんだか分からないバズり方しちゃってるみたいで…
ハナサキ:
皆びっくりしただけで純粋に誉め言葉れすよ!
あ、そうだ!今、カジカさんの前髪カットの名前をつけてたんれすよ。
カジカ:
え?!
ハナサキ:
ちょっとスピーカーにしますね?
アメさん、ドゥリット先輩!カジカさんれすよ!
ドゥリット:
お~ライブお疲れ様、カジカくん!
今ステキすぎるキミの前髪カットの命名が出来たから聞いてくれ!
カジカ:
は、はぁ…
ドゥリット:
『ソング&キャンディー!メルシニストカット』だよ!
カジカ:
メ、メルシニスト…?
アメ:
カジカもなんか言ってやってよぉ。
ドゥリットはホントにこの名前でお店でカットしかねないよ?
カジカ:
…かっこいい…
アメ:
へ?!
カジカ:
メルシーの三段活用ってことですよね?!
メルシー・メルサー・メルシニストってことですか?!
アメ:
なんでわかるの?!
ドゥリット:
一流のアーティストはやはりすぐ理解してくれる!
おれっちも今は前髪カットに甘んじているが、カリスマ美容師になる日は近いということだ!
アメ:
その前に早くフルでカット出来るようになれ。
ドゥリット:
アメも早くおれっち達の高みへと登ってくるがいい!
ハーハッハッハ!
ハナサキ:
かっこいいれす先輩っ!
カジカ:
痺れますドゥリットさんっ!
アメ:
はぁ…なんか疲れた…
ドゥリット:
では、カジカくんのライブ大成功を祝って、ご唱和ください!
『メルシー・メルサー…
みんなで:(アメだけテンション低く)
メルシニストーっ!!』
End.
あとがき。
このシリーズはカエルをモデルにしています。
今回はシリーズ通して登場しているイエアメガエルのほかに、
カジカガエル、ドゥリットアオガエル、ハナサキガエルが初登場しました。
↓フログニアタウンシリーズCase.1〜2もよろしくお願いします!
こちらも比率は不問4人です!
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